夜の帳が降りた頃、小さな村から離れた山の中に、一つの古びた祠が存在していた。
その祠は村人たちから縛と呼ばれ、忌み嫌われていた。
誰もがそこに近づくことを避けていたのは、伝説によれば、祠の中には恐ろしい存在が封じ込められているという噂があったためだった。
ある日、村の青年・健二は、若者たちの好奇心から、友人たちと共にその祠を訪れることに決した。
「どうせ何も起こらないさ」と笑いながら言う健二。
仲間たちもその言葉に勇気づけられ、夜の山道を進んでいった。
静かな山の中、不気味な静けさが漂う。
月明かりが際立つ中、ようやく祠に辿り着いた彼らは、その老朽化した扉を押し開けた。
中は薄暗く、ほのかに湿った空気が漂っていた。
古い神像が祀られ、周囲には見慣れない文字が刻まれている。
突然、彼らの目の前に、驚くべき現象が起こった。
神像から明るい光が放たれ、周囲が眩しいほどの輝きに包まれた。
その瞬間、彼の仲間の一人が叫んだ。
「何だ、こいつは!」光が彼の体に触れると、彼は不気味な笑顔を浮かべ、姿がゆらゆらと揺れ始めた。
それを見た健二たちは恐怖に陥った。
「逃げろ!」と叫び、仲間たちは混乱しながら祠を飛び出した。
しかし、健二はその光に吸い寄せられるように足が動かなくなってしまった。
「俺も、行かなきゃ…!」彼は仲間の方を振り返ったが、すでに彼らの姿は見えなくなっていた。
孤独に残された健二は光の正体を確かめようと、祠の中へと戻った。
そこには、先程の光よりもさらに強い光が神像の周りを舞っている。
その光は不気味でありながら、どこか甘美な誘いを感じさせた。
彼はその光に引き寄せられるように歩み寄った。
近くに行くと、光の中心には縛の形をした影があった。
その影は先ほどの仲間の面影を思い起こさせた。
健二は恐怖で股が震えた。
「お前も、ここに来たのか?」と呼びかけたが、影は言葉ではなく、ただ虚ろに笑っているだけだった。
その瞬間、彼の心の中に恐怖が再びむくむくと沸き上がった。
逃げたい、逃げなければならない。
しかし、体は動かず、何かに縛られたようにその場から動けなかった。
光はますます強くなり、彼を飲み込もうとしていた。
「助けてくれ…!」健二は声を上げたが、返事はない。
彼の視界がますます眩しくなる中、彼は仲間たちの顔が一瞬浮かぶ。
「無事でいてくれ…!」と心から願ったが、その瞬間、彼は完全に光に包まれ、何も見えなくなった。
気がつくと、健二は再び暗闇の中に立っていた。
辺りには誰もおらず、ただ不気味な静けさが漂っている。
彼は何が起こったのか分からなかった。
ただ、祠の記憶と仲間たちのことを思い出し、そこから逃げ出すことしか考えられなかった。
しかし、彼の周りには不気味な影がうごめき、光の冷たい囁きが耳元に響いていた。
「あなたも、私たちの仲間になりましょう…」その声は、彼をさらに深い闇へと引きずり込もうとしていた。
健二の心には逃げ道が見えず、恐れに震えながらも、ただ光の真実を受け入れるしかなかった。
そしてそのまま、彼は祠の中に閉じ込められた。
再び光は放たれ、彼の運命を縛りつけるように祠の中で永遠にさまようことになった。