たがある小さな町。
そこには、町外れに古びた神社があった。
神社は長い間放置されており、住民たちはその神社を避けるようにして生活していた。
その理由は、神社にまつわる奇妙な噂が絶えなかったからだ。
特に、夢に出てくる影の存在は、町の人々を恐れさせていた。
超と言う名の大学生が、その町に引っ越してきたのは、彼女の興味を引くものがあったからだ。
町の伝説や怪談に魅了される彼女は、神社に隠された真実を探ろうと心に決めた。
ある夜、彼女は友人の圭介と共に神社を訪れることにした。
神社の境内に足を踏み入れると、静寂な夜が彼らを包み込み、ただかすかな風の音だけが聞こえた。
月明かりの下で古い鳥居をくぐり、彼らは奥へと進んだ。
しかし、周囲は不気味な雰囲気に満ちており、心のどこかで警戒心を抱きながら、散策を続けた。
「ここ、なんだか変だね」と圭介が言うと、超も同意した。
「少し、薄暗いよね。どうして誰も近寄らないんだろう？」彼女の目に、薄れかけた境内の影が映り込んだ。
それは、何かに引き寄せられるような感覚だった。
神社の奥に進むにつれ、超の心は一段と高鳴り始めた。
時折、彼女たちの後ろに何かの影がちらつくように感じたが、振り向くとただの木々だった。
彼女はそれを気のせいだと思い、何とか自分を落ち着けようとした。
「超、ちょっと待って。何かいるかもしれない」と圭介が声を震わせた。
彼の声を聞いても、超は恐れを感じず、逆に興味が引かれた。
彼女は影が現れる度、その正体を確かめたくて仕方なかった。
「行こう、もう少し奥へ行こう。」超は圭介を励まし、進む決意を固めた。
しかし、その瞬間、突然空気が重くなり、周囲の景色が変わった。
神社の木々は不気味に揺れ、背後で何かが動いた気配がした。
「これは、どういうこと？」圭介が恐れ混じりに言った。
彼は後ろを振り向き、目が合ったかと思うと、彼の目は驚愕に満ちていた。
「何かが…見ている！」超もその言葉を聞き、振り向くと、そこには人間とも獣ともつかない影が見えた。
「お願い、早く戻ろう！」圭介が叫ぶと、彼らは神社の出口に向かって走り始めた。
しかし、進むにつれ、影はその距離を縮め、まるで彼らを引き寄せるかのようだった。
超は逃げることしか考えられず、心の奥で怖れを抱きながらも、ふと考えた。
「これが本当にあの神社の噂なのかもしれない。」影が何かを求め、繋がっているように感じられた。
彼女たちが逃げるほどに、その影は背後に迫り、望まなかった真実を示そうとしているようだった。
振り返る勇気はなかったが、超の心の中には、一度その影を直視したいという不可思議な思いが渦巻いていた。
そして、次の瞬間、影が彼女の目の前に現れた。
「おまえたち…来るな」と冷たい声が響いた。
彼女はそれが何であるか理解したとき、血の気が引いた。
影はかつてこの神社を守っていた神々だったが、長年の放置でその記憶も忘れかけていたのだ。
求められているのは、ただ彼女たちの「望」だったのだ。
超はその瞬間、恐怖を感じながらも強い意志を持った。
「私たちは、あなたのことを知りたい！この神社を大切にしたい！」声を振り絞った。
すると影が静かに収まり、夜空に消えていった。
二人は何とか神社を後にし、心に刻まれた影の体験を胸に秘めた。
彼らの中には、それぞれの理想と現実が交差する不思議な理解が生まれていた。
そして、町に戻った彼女たちは、この神社の魅力と恐怖を語り継ぐ存在として、町の一部となった。
