「還らざる魂の呪い」

若い頃、隆一は友人たちとよく野山を探検していた。
ある日、彼らは古びた神社の跡を見つけた。
周囲には只ならぬ不気味さが漂い、誰もがその場から離れたがった。
しかし、好奇心旺盛な隆一は、他の友人たちを引き留めて神社の中に足を踏み入れることにした。

神社の中は薄暗く、冷たい風が不気味に吹き抜けていた。
お札が剥がれ、石の鳥居は苔に覆われ、いかにも長い間手入れされていない様子だった。
友人たちは怖がりながらも、隆一についてきた。
彼は「何か面白いものが見つかるかも」と言って笑っていたが、彼の心のどこかには不安の影が存在していた。

神社の奥にある本殿にたどり着くと、奇妙な空気が支配していた。
隆一は中に入ると、壁に貼られたいくつもの呪文が目に入った。
彼の好奇心がさらに刺激され、「これ、何の呪文なんだろう」と友人たちに尋ねるが、返事は返ってこなかった。
彼らは何かに気づいたのか、急に心細そうな表情を浮かべていた。

神社を後にした隆一たちは、その後すぐに異変に気づいた。
彼の身の回りで、何かが変わり始めたのだ。
夢の中に、神社の本殿の光景や、呪文の言葉が繰り返し浮かんでは消えた。
そして、友人たちの顔には陰が差し、次第に元気を失っていくのを見て、隆一は次第に恐怖を覚えた。

ある晩、彼は夢の中で神社に再び訪れていた。
すると、目の前に神社の祭神の姿が現れた。
そこには、かつて呪われた魂が封じ込められたという伝説の神々しい姿があった。
彼は語りかけた。
「私の魂を還してくれ。この呪いを解いてほしい」と。
しかし、隆一にはその神の意図が理解できなかった。

目が覚めると、友人たちのことが気になり、彼は連絡を取った。
するとなぜか、友人たちが一人ずつ消えていくことを知らされる。
彼の元に残ったのはただ一人、友人の智也だった。
智也は、「お前も早く逃げた方がいい」と警告する。
その言葉に、隆一は焦りを感じた。

やがて、彼は想像を絶する事実に直面する。
友人たちは、呪いの影響で神社に戻ってしまっていたのだ。
そして、彼もまたその呪いの連鎖から逃げられない運命にあった。
隆一は智也とともに、再び神社へ向かおうと決意した。

神社に辿り着くと、そこには奇妙な静けさが漂っていた。
二人は懸命に呪文を書かれた場所を探し、その唱えることで何とか友人たちを助けようとした。
しかし、呪文を声に出すたびに、彼らの周囲で不気味な現象が続けて起こった。

果たして、その呪文は彼らを解放するのか、それともさらに深い闇に引きずり込むのか。
隆一は自分の魂が呪われているかのような感覚を覚え、智也と二人、果てしない闇に引きずられながら懸命に戦った。
呪文は響き渡り、やがて彼の目の前に消えた友人たちの姿が現れた。

だが、その瞬間、彼の心には恐ろしい現実が待っていた。
友人たちの魂は、再び戻ることができず、神社の神々しい光に包まれて消えてしまったのだ。
隆一は、それを目の当たりにし、自らもその光に飲み込まれる感覚を味わっていた。
彼は二度の運命に逆らえず、神々とともに永遠に影として生き続けることを決めたのだった。

今もなお、神社では夜な夜な隆一の声が響いているという。
彼の魂は、残された友人たちの呪いを解くために、野に還ることを願いつつ、静かに彷徨い続けている。

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