薄暗い一軒家の二階、空気がひんやりとした部屋には、夏の蒸し暑さが似合わないほどの静寂が漂っていた。
そこには、友人たちとともに過ごした思い出がたくさん詰まった、学び舎のような雰囲気が漂っている。
夏休みのある夜、男の子たちと一緒に泊まりに来たゆうと、まこ、しゅんは、心に絆を育てていた。
3人は、部屋の隅にある古い木製の机を囲んで、真っ暗な廊下の先にある、入ることをためらうような暗い部屋の伝説について語り合っていた。
聞いたところによれば、その部屋には、現世に未練を残した女の人の霊が住んでいるという。
彼女は、友人たちの絆を断ち切りたいのだと言われている。
その日、皆は好奇心からその部屋に挑戦することに決めた。
「こんなこと信じるわけないだろう。行こうぜ！」と、ゆうが言うと、しゅんもつられて笑って、「もし怖かったらすぐに戻ってくるからさ！」と答えた。
まこは心配しつつも、彼らのその気持ちを受け入れ、一緒に行くことにした。
薄暗い廊下を進むうちに、何かかすかな音が聞こえ、3人は立ち止まった。
「今、何か聞こえたぞ！」と、ゆうが言う。
しゅんは怯えた声で「じゃあ、やっぱり行かない？」と言い、まこは「大丈夫、行こうよ。」と二人を励ましながら先に進むことにした。
扉を開けると、部屋は不気味なほど穏やかで大量のほこりが空気中に舞い上がっていた。
しかし、横たわる古びたベッドに白い布がかけられ、何かが彼らを呼んでいるようだった。
しゅんは一瞬恐怖で体がすくみ、ゆうも不安そうに顔をしかめた。
でも、まこは言った。
「一緒にいるから、怖がらなくていいよ！」
暫くして、3人はその部屋にある古い鏡の前に立った。
そこには何かが映り込む感じがしたが、目を凝らすと何も見えなかった。
「なんだ、何もないじゃんか。」ゆうが言う。
ところが、まこには分かった。
彼女の目の前に映るのは、他の誰でもなく、自分自身の悲しそうな表情だった。
その瞬間、鏡の中に女の人の姿が映り込んだ。
彼女は薄く笑い、三人を見つめていた。
ゆうが震えながら後ずさり、「やっぱりダメだ、帰ろう！」と叫んだ。
しかし、まこはその場から動けず、じっとその霊に見入っていた。
「あなたたちの絆を壊してやる、この場所から離れたくないのです。」彼女の声は突然立ち込め、三人の心を揺さぶった。
しゅんは恐怖に震え、ゆうは逃げたが、まこだけは霊に向かい、「あなたも、友達なんだね。大切な存在だから、無理に悲しむことはないよ。私たちも一緒にいるから。」と伝えた。
驚きと共に、霊はまこを見つめ続けた。
「あなたは本当に私のことを理解できるのか？」問いかける霊の眼差しに、深い絆が感じ取られるようだった。
まこは、何かを伝えられると言って、彼女に手を差し出した。
次の瞬間、霊はしゅんとゆう、そして彼女の手に触れた。
「もう一度、友達になりたい。私の思いを解き放ってほしい。」彼女の願いがまこに届く瞬間、部屋全体が奇妙な光で包まれ、彼女の悲しみがどこかへ去っていった。
しゅんとゆうは急に静けさに包まれたことに気づき、まこも彼らに向かって笑った。
「もう大丈夫。」彼女が言うと、あたりが明るくなっていき、彼女の表情も爽やかになった。
部屋をそっと出ると、あの不気味だった空気は姿を消していた。
3人は互いの手を繋ぎ、一緒にその空間を後にした。
結束した絆の強さが、彼らの行く先を照らし出しているかのように感じた。
そして、彼女たちの心には、ささやかな明かりがともったまま、彼女の思い出も消えなかった。
元気を取り戻した女の霊は、彼らの心の一部として、永遠に共にあった。
