「命を吸う光の囁き」

ある静かな夜、町の外れに位置する薄暗いテ、自販機のそばで奇妙な光が目撃された。
人々はその光を「又の光」と呼び、近寄ることをためらった。
町の人々によれば、その光は人の命を吸い取るとも言われていた。
そのため、好奇心旺盛な若者たちは、夜な夜なその場所を訪れては、噂を検証することにした。

ある夜、若者の一人である翔は、友達と共にそのテへ向かうことにした。
彼らは互いに怯えつつも、好奇心に駆られていた。
「本当に命を吸い取られると思う?」と翔が尋ねると、仲間の一人である亮が冗談めかして「それならお前が行ってみろ!」と笑った。
翔は心に不安を抱えながらも、一歩ずつ光の方へ進んでいった。

光はその場に到着する前から、まるで彼を誘うように揺らめいていた。
翔はその光の中に、何か不思議な力を感じた。
視界が光で満たされると、意識が朦朧とし、まるで誰かに呼ばれているかのように感じた。
その瞬間、翔の頭の中に「命」という言葉が響きわたり、彼は不安を覚える。

「翔、やめろ!」友達の声が聞こえた。
その声でハッと我に返る。
しかし、その光の影からひょっこり現れたのは、かつて命を落とした若者たちだった。
彼らの目は無機質で、寂しさと後悔の念が漂っていた。
「助けてほしい」と彼らは口を揃えて言った。
翔は恐れと同時に動揺した。

「私たちの命を返して」と彼らの一人が言う。
その瞬間、翔の背後にいる友達たちは、その光に引き寄せられるように動いていた。
彼は必死に彼らを引き止めようとした。
でも、彼の手はどこか虚空を掴むように感じられ、友達たちはその光に吸い込まれるように消え去ってしまった。

翔は恐怖に駆られ、逃げようとした。
しかし、足が動かない。
不思議なことに、彼もまたその光に取り込まれようとしていた。
命を吸い取る光の正体は、彼らの命を核として成り立つ存在だった。
光は人々の命の結晶であり、その周囲には数えきれないほどの命が集まっていたのだ。

彼は次第に意識が暗くなり、彼自身も光の中で「又」の一部となってしまうのではないかという恐怖を感じた。
そうして、いつの日か翔もまた、若者たちのように光に引き寄せられ、テで奇妙に揺らぐ光の一部にされるのだと、心の底でわかっていた。

やがて夜が明け、街の人々は翔と彼の仲間たちの行方を探したが、何の痕跡も残っていなかった。
そして又の光は、静かに輝きを増し、その周囲にはまた新しい命を求める者が現れるのだろう。

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