夜の静寂が車の中に満ちていた。
ラは運転席に座り、車のヘッドライトが照らす道を見つめていた。
周囲は薄暗く、たまに目に入る街灯が不気味に光っている。
彼女の心は不安に包まれていた。
それは、今夜のドライブが童心に帰るような楽しみから、いつの間にか恐怖へと変わっていく感覚だった。
突然、車の中に不意の気配が感じられた。
ラはカーステレオから流れる音楽に耳を傾けながらも、視線を周囲に泳がせた。
悪化する不安感。
しかし、何も見つからない。
彼女は「気のせいだ」と自分に言い聞かせたが、その思いはうまくいかなかった。
「何かがある。」心の奥底で、小さな声が囁いている。
普段の彼女ならこのまま目的地に向かうことができたのに、今は不気味な何かに引き寄せられてしまう。
道の脇に、朽ちかけた古い車が停まっているのを見つけた。
心の中で感じていた恐怖が、まるでその車から放たれる悪意に変わったかのように思えた。
痺れるような感覚が全身を駆け抜ける。
しかし、好奇心は彼女を突き動かした。
「ラ、ちょっと見に行こう。」自分自身に言い聞かせる。
車を停め、外に出ると、夜の冷たい空気が身体を包み込む。
肝を冷やすような心持ちで、廃車に近づく。
そこには長い間誰にも触れられていないと思われる、古びた車の存在があった。
窓は曇り、塗装は剥がれおち、まるで放置された時間の痕跡がそこにあった。
すると、まるでその車が生きているかのように、周囲の空気が揺らいだ。
ラは一瞬、目を閉じ、心の底からの恐怖を味わった。
心の中で、はっきりとした声が響く。
「この車に乗って傷つける者がいる。」その瞬間、彼女はぞっとした。
もう一度目を開けると、廃車の運転席に座る一人の人影が見えた。
彼女はその影が何を意味するのか理解することができず、ただ恐怖で震えた。
その影は薄暗い中でじっと彼女を見つめ、何かを囁くように微笑んでいた。
彼女は恐怖に駆られて後退り、車に戻ろうとした。
しかし足がもつれ、倒れそうになった瞬間、「行かないで、私を助けて」という声が耳元で聞こえた。
ラは一気に恐怖が背筋を冷やし、不気味な声が心に刺さった。
「救いを求めているのはあなたの心よ、私の心も切り刻まれたように、私だけが悪なのか？」その言葉は何かに引き寄せられるようにラの心に響いた。
「助けてほしいなら、悪を受け入れないといけない。それが真実なんだ。」そう言われ、自分自身が何をすべきかを問い直さなければならなかった。
恐怖で動けなくなりながらも、その心の声は逆に彼女を ユニークな真実を見つける旅へ導いていた。
ラは強い意志で「私はあなたを解放する」と言った。
その瞬間、車の窓が開き、冷たい風が吹き込んできた。
「本当の心、悪も含めて受け入れなくてはいけないのね。」ラは悟った。
彼女はその霊の痛みを共有し、彼女の中にある恐れをも受け入れる決意をした。
代償として、彼女はその車の中に潜む悪の一部になることを選択した。
彼女の心の中で、切り裂かれた過去を抱えつつ、その存在の一端を理解した。
車を後にする時、ラは悪がもたらすものと向き合う準備ができていた。
心の重荷は増したが、解放の光が彼女を待っていると信じた。
そう、夜の闇の中で、彼女の新しい旅が始まったのだ。
