静かで暗い山奥の集落、そこにまつわる伝説は多い。
ある日、佐藤健一は友人たちと共に肝試しをすることに決めた。
彼らは若者らしい好奇心に駆られ、森の奥深くにあるという「闇の神社」を訪れることにした。
この神社は、長い間人々から忘れ去られ、訪れる者がいなくなったため、今ではあまりにも神秘的な場所と化していた。
夜の帳が下りる頃、健一と彼の友人、ゆうな、たくみ、そしてまどかの4人は、懐中電灯を手にし、恐れを感じつつも神社へと足を運んだ。
薄暗い森の中、風の音がざわめき、映画のワンシーンのような緊張感が漂う。
彼らは近づくにつれ、神社の古びた姿が月明かりに照らされ、どこか不気味な雰囲気を醸し出していた。
神社の前にたどり着くと、彼らは一瞬立ち尽くした。
朽ち果てた鳥居があり、周囲には雑草が生い茂り、外界との隔絶を示すかのようだった。
健一は、先に進むように友人たちを促した。
「さあ、行こう。何も起こらなければただの肝試しだよ」と声をかけた。
皆が緊張しながらもその言葉に背中を押されて神社の中へ進んだ。
神社の中はひんやりとしており、空気はどこか重く感じた。
壁面には薄暗い時間の流れで黒ずんだ神像があり、彼らはその存在に言葉を失った。
しばらくその場を見つめていると、ふと、まどかが声をあげた。
「ねえ、ここ、何かおかしいよ…」。
彼女の言葉に皆が唖然とし、仲間たちも神社の異常さに気づき始めた。
その瞬間、ざあっと風が吹き、懐中電灯の光が揺れた。
まどかは目を大きく開き、「見て、あそこ…」と指を指した。
探索の過程で気づいた場所は、神社の奥、白い幕のような薄暗い空間が広がっていた。
そこに何かの気配を感じたのだ。
まどかは一歩前に進んだが、他の友人たちは強い恐怖感に拘束されて動けなかった。
健一は、何かが起こりそうな予感を抱えながら、彼女を呼び止めた。
「やめろ、まどか。戻ってここから出よう!」しかし、まどかの手は既に幕に触れていた。
すると、その瞬間、幕の向こうから無数の手が伸びてきた。
それはまるで暗闇の中からの呼び声であり、引きずり込まれるような恐怖が彼らを襲った。
四人は急いで神社の外へと逃げ出したが、健一の心には一つの考えが浮かんだ。
「何が起こったのか、真相を知りたい…」健一は記憶の中に宿っていた、村人たちの語り草を思い出した。
それは、かつて人々がこの神社に祀った者たちが、現世とつながりを持ち続ける悲しい物語だった。
彼らは急いで帰路についたが、健一の心には、あの幕の向こうに潜む真実がとどまっていた。
友人たちの間に流れる緊張感は高まり、健一の意識は徐々に闇へと引き込まれていった。
心に深く刻まれた映像は、彼が見たものとして記憶に残り、彼の日常に影を落とす。
その後、彼らは神社を再び訪れることはなかった。
だが、健一の心の中には、失われたものたちの影が浮かび上がり続け、それが彼を追い詰めることになる。
しかし、彼は真実を知ることで救われると信じていた。
月明かりのもと、静かな山奥の空間で、彼はただ一つの真実を抱えたまま、闇の中で立ち尽くしていた。