「血の封印に囚われて」

清水は、ある日、友人たちと共に肝試しに出かけることにした。
彼らは古びた神社の裏山にあると噂される「血の封印」の伝説について耳にしたことがあった。
その神社は周囲から少し離れた場所にあり、何もない静かな環境にひっそりと佇んでいた。
かつて、そこで人々が血を捧げ、封印を施したとされている。
その封印が解かれると、何が起こるか分からない怖れがあった。

清水は好奇心旺盛な性格で、友人たちを引き連れて、その封印を見つけることに意気込んでいた。
彼はその神社の神主から封印の話を聞いたことがあり、「それが解かれた時、人の血が流れる悲劇が訪れる」と言われていたため、ワクワクと不安が入り混じった感情を抱いていた。

彼と友人たちは、薄暗く霧の立ち込める夜道を進み、神社に着いた。
神社は人里離れた場所にあり、とても静かで、月明かりすら薄暗く感じられた。
清水は心の中で何かが起こる予感を抱きながら、友人たちに「さあ、行こう」と声を掛けた。

神社に足を踏み入れると、空気がひんやりとしていた。
古い木の扉が閉ざされ、周囲はすっかり暗闇に包まれていた。
清水は懐中電灯を照らしながら、一行を導いていく。
少しずつ進むと、彼らの足元に何かの跡が見つかった。
それは小さな手形のように見え、赤く染まっていた。
「この血の跡って…」清水は言葉を失った。
友人たちも恐怖に凍りついている。

「これは…誰かが封印を解いたのか?」一人の友人が言った。
清水はその言葉を聞いて、ますます不安が募った。
そして、手形を辿り進んでいくと、突然背後から風が吹き抜けた。
清水は振り返ったが、誰もいない。
ただ、不気味な静けさだけが彼らを包んでいた。

さらに奥へ進むと、神社の中央に巨大な石碑があり、その周囲には不気味な模様が刻まれていた。
清水は、その石碑の前に立ちすくみ、何かを感じ取っていた。
そこで彼は目の前に、薄暗い影を見つけた。
それは人の形をしていた。
彼はその影に目を凝らすが、誰なのか分からない。
ただ、彼の胸の奥が締め付けられるような感覚があった。

その影が次第に形を成し、清水は背筋が寒くなった。
「助けて…」その声が彼に響き渡った。
清水は驚いて後ろに下がり、友人たちは彼に寄り添った。
恐れを感じつつ、清水は再び影に目を向ける。
影は静かに、彼に向かって手を差し伸べていた。

「あなたは誰なの?」清水は震える声で尋ねる。
その瞬間、影の視線に吸い込まれ、彼は動けなくなった。
手が彼の方へ伸びてくると、彼の心の中に冷たさが広がっていく。

「私は、封印された者…あなたの血を求めている」と影が囁く。
清水はその言葉に恐れがこみ上げてくる。
彼の頭の中で、血が流れることによって解放される悲劇が想像される。

「ここから出なければ、封印が解かれる…!みんな、急いで!」友人が叫び、清水もその声に呼応する。
しかし、その瞬間、大地が揺れ、影が彼らの周囲を取り囲む。
「誰かが封印を解いた…あなたもその一人だ」と影は静かに告げた。

清水は無我夢中で逃げ出そうとしたが、影の手が彼の腕を掴んだ。
甲高い悲鳴が響き渡り、彼は心の底から恐怖を感じた。
その瞬間、彼の目の前で友人が倒れ、彼らは何かに飲み込まれていくのを目撃する。

「あなたたちの血は、ここに封印されている…次は、誰がSacrificeになるのか」と影の声が響く。
その声は、彼の心を直接突き刺すようだった。

清水は命からがら神社から逃げ出しながら思った。
何かが解き放たれた今、彼らはその影から逃げ切ることができるのだろうか。
逃げ続ける清水は、背後に残された友人たちの声を心に刻みながら、ずっとそれを忘れることはできないだろう。
命の重みを感じながら。

タイトルとURLをコピーしました