「禁を破った少年たちの運命」

昔、静かな村の外れに小さな池があった。
その池は神秘的で美しい水面を持ち、村人たちから慕われていた。
しかし、同時に「禁じられた水」とも呼ばれており、村人たちは決してその水に手を出すことはなかった。
なぜなら、池には恐ろしい伝説が言い伝えられていたからだ。

村で暮らす中学三年生の正志は、好奇心が強く、村の伝説に興味を持っていた。
ある日、友人たちと話していると、「池に近づいてみようよ」と誰かが言い出した。
正志はその提案に興味をそそられ、仲間たちと共に池の存在する場所へ向かうことに決めた。

薄暗い夕暮れ時、彼らは池に到着した。
水面は静かで、まるで何もないかのように感じたが、どこか不気味な雰囲気が漂っていた。
友人たちはためらいながらも、正志だけは池に近づいていった。
水の透明度が高く、底に見える小石や水草がどこか神秘的だった。

「これが禁じられた池か…」正志は独り言をつぶやいた。
しかし、彼の心の奥には、友人たちの警告が響いていた。
「近づくな、触れるな」と。
無邪気な好奇心が勝ってしまった正志は、思わず手を水に伸ばす。
しかし、その瞬間、池の水がうねり始めた。
何かが水面の下から浮かび上がってくるような感覚が彼を襲った。

「正志、やめろ!」友人の一人が叫んだが、彼はその声を無視して水に触れ続けた。
水の冷たさは異常で、まるで生きているかのような感触だった。
すると、急に池の水が高く噴き上がり、その中から何かが現れた。
それは無数の黒い影が絡まり合った、恐ろしい存在だった。

友人たちはその光景に凍り付き、恐怖で動けなくなった。
正志は、影が持つ目に引き込まれ、心の奥深くから恐怖を感じた。
逃げようとした瞬間、友人の一人が池の近くでつまずき、地面に倒れ込む。
彼の痛々しい叫び声が響き渡り、影たちは一瞬その声に反応する。

「移ろいゆく魂…禁じられた水の恵みを…」影はかすかな声で囁いた。
その言葉が周囲に共鳴し、恐怖がさらに広がった。
正志は後退り、仲間たちを引き連れようとしたが、足が進まない。
彼は自分の決断を悔い始めた。
「こんなものに近づくべきではなかった」と思った時、影の一つが彼に手を伸ばしてきた。

その手は冷たく、正志の腕に触れると肉体から恐ろしい感情が伝わってきた。
痛み、怒り、そして暴力。
彼の心に不安定な感情が渦巻き始め、彼は絶叫した。
影たちはその叫び声に集まり、正志の周りを取り囲んだ。

「私たちに触れた者は、何かを奪われる。」影の声が響く。
正志は逃げようとしたが、すでに池に引き寄せられ、堪えがたい雰囲気に包まれていた。
周囲の友人たちも、影の影響を受け始め、次々と恐怖のあまり逃げ出した。

正志は必死に水際から離れようとしたが、その影は強く彼を引き留めた。
「禁じられた池には、過去の知恵が隠されている。しかし、それを見つけた者は、永遠にこの池に囚われる運命だ」という恐ろしい言葉が耳に残った。

結局、正志は池の恐怖に魅了され、友人たちを道連れにしてしまった。
彼らの運命はこの禁じられた水に飲み込まれ、村には彼らの姿を知る者がいなくなった。
それ以来、「禁じられた水」が流れる池の周りには誰も近づくことはなくなった。
恐るべき現象は、今もそこに存在し続けているのだ。

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