遊園地の片隅にある、「生の館」と呼ばれる不気味なアトラクションがあった。
そこは、いわゆる「心霊スポット」として知られているエリアで、夜になると特に不気味な雰囲気を醸し出していた。
そんな噂を耳にした高校生の佐藤健二は、友人たちと共にその場所を訪れることを決めた。
放課後、彼らは意気揚々と遊園地に向かった。
仲間には美少女の桜井恵、美術部員の山本直樹、そしていつも冷静な檜山亮がいた。
遊園地の賑わいの中で、彼らは「生の館」の前に立ち尽くした。
白い廃屋のような建物は、何年も手入れされていないようで、周囲には草が生い茂り、薄闇に包まれていた。
「こんなところ、やめようよ!」と恵が少し怖がって叫んだが、健二は勇気を奮い立たせてドアを押し開けた。
「入ったら帰れないかも」と囁く声が彼の耳元で聞こえた。
しかし、彼はそれを無視し、中に足を踏み入れた。
屋内は暗く、埃が舞っていた。
壁には古びた写真や不気味な絵が飾られており、そこにはかつてこの遊園地で亡くなった人々の姿が描かれていた。
一歩一歩進むにつれ、彼の心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
直樹は「ここはやっぱりおかしいよ」と言っていたが、彼の声は不安に満ちていた。
彼らは奥にある部屋に進み、そこで不気味な現象に遭遇した。
部屋の中央には小さな祭壇があり、その上には白い布がかけられた箱があった。
不意に部屋の空気が張り詰め、息苦しさを感じた。
「開けてみようよ」と健二が言うと、仲間たちは一瞬戸惑ったが、結局は彼の好奇心に流されて箱を開けることになった。
箱の中には古びた人形が入っていた。
その人形は少女の姿をしていて、目が異様に大きく、じっと見る者を見つめ返してきた。
「やっぱり気持ち悪いな」と直樹は言ったが、健二はその人形を触ろうとした瞬間、部屋全体が一瞬で冷たくなった。
彼らはゾクゾクと背筋を凍らせ、再び周囲を見回した。
その瞬間、猟奇的な笑い声が部屋中に響き渡った。
死んでしまった遊園地の幽霊たちが、彼らの身に迫ってきているかのようだった。
檜山は急いで外へ逃げようとしたが、ドアは閉まっていて開かなかった。
「どうして開かないの!?」恵が叫んだ。
彼らはそこに閉じ込められてしまった。
人形が動き出し、彼らの周囲をゆっくりと回り始めた。
「放してくれ!」と健二は叫んだ。
だが、その声は何の意味も持たず、幽霊たちは彼らに近づいてくる。
心臓がドキドキと音を立て、背筋に冷たい汗が流れた。
次第に彼らは、自分たちの命が彼らの「生」に関する何かを知ろうとしていることに気づいた。
それは、この遊園地で遊び、楽しみ、忘却されることが許されず、絶望だけを与えられている幽霊たちの叫びだった。
彼らは自らの魂を解放する手助けを求めていたのだ。
「私たちも助けてあげるよ、だから出して!」恵が涙ながらに叫んだ。
しかし、幽霊たちは答えず、ただその場に漂い続けた。
彼らはこのまま生きたまま幽霊として放り出されてしまうのかと、絶望感に包まれていた。
すると、突然、人形が大声で叫んだ。
「生を放つことは、真実を知ることなのだ!」その瞬間、周囲の空気が変わり、部屋は明るくなり始めた。
ドアが開き、健二たちはその光に引き寄せられるように外へ飛び出した。
遊園地の外に出た彼らは、無事に生還したことに安堵したが、あの幽霊たちと人形の言葉が心に残っていた。
彼らはかつてのように遊園地に戻ることはできず、その後も心の奥に刻まれた恐怖を抱えながら、遊びの場所を失ったことを知ったのだった。