図書館の片隅に掛けられた一枚の古い地図は、村の過去を秘めていた。
薄明かりの中、月明かりさえも避けるようにその地図は存在していた。
主人公のあかりは、友人たちとその地図を見つけ、「何か面白い話を作りたい」と意気込んでいた。
地図には、村の知られざる場所や、隠された財宝の位置が示されていた。
しかし、地図の端には不気味な警告が書かれていた。
「この道を辿る者、無を持って帰ることとなる。」あかりは恐れを感じたが、それ以上に好奇心が勝っていた。
「きっとただの都市伝説よ。」そう言いながら、友人たちを誘い、謎めいた場所へ向かうことにした。
その夜、彼女たちは地図に描かれた場所へ向かった。
そこは村の外れにある、かつての廃墟だった。
入り口には朽ちかけた木の扉があり、まるで誰かがそこに住まうことを拒絶しているかのようだった。
あかりと友人のみちる、けんたは一緒に扉を押し開ける。
中は静寂に包まれており、かすかに古い木材の香ばしさが漂っていた。
深入りするうちに、彼らは部屋の奥にある一つの大きな箱を見つけた。
好奇心が盛り上がり、あかりがその箱を開けることになった。
箱の中には、小さな手紙があった。
それには「宝を得る者、代償を払うが良い」と書かれていた。
あかりはその言葉に恐怖を覚え、手紙をすぐに箱に戻した。
しかしその瞬間、空気が変わり、どこからともなく不気味な囁き声が聞こえてきた。
「宝を求めるのか?ならば、行け。」彼らは驚き、すぐに引き返そうとしたが、目の前に立ちはだかる影が現れた。
影は、無数の目を持った長い影で、彼らを見つめ返してきた。
混乱したあかりは、必死に逃げようとするが、足がすくんで動けなくなってしまった。
彼女たちの思考は短絡的になり、箱の中の手紙に戻ることしか考えられなかった。
「これがきっと解決策になるわ。宝の代償を受け入れなければならないのよ。」彼女はそう呟くが、他の友人たちはすでに恐怖に耐えきれず、逃げ出していた。
その時、謎の存在が影をまとい、あかりを取り囲む。
彼女は思わず「宝が欲しい」と叫び、その瞬間、影たちが彼女に近づいてきた。
彼女は不意に、手に小さな光を感じた。
「これが宝の正体なのか?」それは彼女に希望を与える光だった。
しかし、急に影たちの目が彼女を無情に包み込み、一瞬で暗闇に沈み込んでしまった。
あかりは気が付くと、友人たちとはぐれていた。
周囲は暗澹たる静けさに包まれ、彼女の心だけが恐怖に満ちていた。
あかりは再び手紙の内容を思い出し、はっとする。
彼女が求めた宝は、自らの運命を代償にする「無」と同義であった。
友人たちの声は徐々に遠ざかり、あかりは暗闇の中で孤独を感じていた。
「どうしてこんなことになったの?」彼女の中で葛藤が続く。
結局、宝を求めた結果、彼女は代償を支払うこととなり、決して戻れない場所に迷い込んでしまった。
日の光が再び彼女の目に入ることはなかった。
影は彼女の存在を背負ったまま、再び静かに元の場所に戻っていった。
彼女の姿を見た者はいなかった。
地図が指し示す「無の場所」に選ばれたのだ。
彼女の心の中に残されたのは、確かにあったかつての友人たちとの思い出だけだった。
あかりは、ただその一瞬の選択が永遠に続くことを理解した。