深夜のコンビニは、静まり返った街の中で唯一の明かりを放ち、ひっそりとした場所だった。
中山翔太は、深夜のバイトをしている大学生。
毎晩、遅い時間の客はほとんどいなく、単調な作業をこなすだけの日々が続いていた。
しかし、ある日のこと、彼の生活は一変してしまう。
その夜、翔太はいつも通りレジで商品をスキャンしたり、棚の整理をしていた。
外の冷たい風が窓を叩く音を聞きながら、彼はふと不安に駆られる。
最近、妙な出来事が続いていたからだ。
人が少ないはずの時間に、見知らぬ客が来ることが多くなり、その度に不気味な感覚が彼を包んでいた。
「また、来たのか…」心の中で不安を抱きながら、翔太は商品の補充を続けていた。
すると、ひとりの男が入ってきた。
その男は、目をじっと閉じ、何かを探るような仕草をしていた。
翔太は緊張しながらも、彼に声をかける。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
男は無言で翔太の方を向く。
その瞬間、彼の目に異様な光が宿った。
翔太は背筋が寒くなり、何か悪いことが起こる予感がした。
男はゆっくりと口を開く。
「深夜のコンビニでは、時折不思議なことが起こるんだ。」
翔太は一瞬考えたが、恐れを振り払うように男に尋ねる。
「不思議なこと?どんなことですか?」
男は一瞬黙り、不気味な笑みを浮かべた。
「人が行き交う場で、知られざる現象が起こることがある。それに気づいているのは、あなたたちだけだよ。」
翔太はその言葉が心にひっかかった。
深夜のコンビニで“二”つの現象が重なることがあるという話。
しかし、すぐに男は無言になり、商品のタブを商品棚に戻した。
翔太はその光景に言いようのない不安を覚えた。
「何か恐ろしいことが起こるのか…?」
彼の心の中で不安が広がる。
続けて男が口を開く。
「私の名前は、洋介。あなたの背後に“動”くものがいる。気をつけて。」
翔太は再び背筋が凍りつく。
何かの気配を感じ、背後に振り返ったが、誰もいなかった。
しかし、静まり返った店内には、確かに冷たい風が吹き抜ける音だけが響いていた。
翔太は急に恐怖が襲い、男から目を離すことができなかった。
その後、男洋介は何も言わずに店を出て行った。
翔太はその場に立ち尽くし、男の言葉が頭から離れなかった。
不安を抱えながらも、時間が過ぎ、次第に客が来ない深夜のコンビニは再び静けさを取り戻した。
だが、彼が気を抜いた瞬間、背後で何かが“動”く気配を感じた。
隣の冷蔵庫から人影が見えたような気がした。
翔太は恐怖に駆られ、後ろを振り返った。
しかし、そこには何もなかった。
無我夢中で時計を見つめる翔太。
時間はいつの間にか午前2時を過ぎていた。
彼の心臓は高鳴り、何かが迫って来るのを感じた。
不安に包まれながらも、彼はレジに戻り、自分を落ち着かせようとした。
しかし、再び背後で動く気配がした。
翔太は取り乱し、再度背後を振り返った。
すると、そこには洋介の姿が。
しかし、その表情は初めて見た表情ではない。
彼の身体は不自然に歪み、その目は真っ黒になっていた。
「翔太、道を誤るな、ここにいると真実が見えてしまうぞ。」
その瞬間、翔太は意識を失った。
気がつくと、彼は店の奥の倉庫に寝かされていた。
周りには、彼が見たはずの客たちの姿がない。
深夜の静けさが一層不気味に感じられる。
彼は何か力が引き寄せるのを感じながら、再び店の外に出る。
薄暗い道に出た瞬間、嫌な感覚がよみがえった。
恐ろしい真実が近づいている…翔太はその場に立ちすくみ、誰かに理解してほしいと願った。
彼はこの世の中で、ただ一人の恐怖を抱えたまま、永遠に彷徨い続けることになったのだ。