ある寒い冬の夜、町外れの薄暗い公園に、一本の古びた街灯が照らす場所に一人の女子高生が座っていた。
名前は美咲。
友人たちと遊ぶ約束をしていたが、約束の時間を過ぎても誰も現れず、いつの間にか夜は深くなっていた。
不安な気持ちを抱えながら、公園を見渡す美咲。
何かが彼女の心にひっかかっている。
彼女は何度も携帯で友人に連絡を試みたが、電波は悪く、メッセージは送信されない。
街灯の光が不気味に揺れ、周囲は静まり返っていた。
そんな時、彼女の背後に足音が聞こえた。
振り返ると、見知らぬ男が立っていた。
彼の名は翔太。
表情は柔らかいが、目にどこか影がある。
翔太は「君、一人で大丈夫?」と尋ねる。
美咲は友人を待っていると説明するが、翔太の視線は彼女に向けられ続けた。
彼女は彼の存在に不安を感じ始めた。
「実は、ここには変な噂があるんだ」と翔太は続ける。
「この公園では、時折、人が消えることがあるんだよ。」美咲は笑いながら、「そんなの迷信よ」と言うが、翔太の真剣な表情に心がざわつく。
彼は何かを隠しているようだった。
その時、彼女は再び背後から音を聞いた。
何かが自分を狙っているという感覚が彼女を襲った。
美咲は不快感を覚え、翔太に目を戻す。
「帰るね」と言って、立ち去ろうとした。
その瞬間、翔太の手が彼女の腕を掴んだ。
「行かないで。まだ話したいことがあるんだ。」
その言葉に反発し、美咲は痛みを感じながらも力を入れて逃げ出した。
公園の出入り口に向かうと、突如として周囲が異様な静けさに包まれる。
さらに不気味なことに、街灯が次々に消え始めた。
彼女の心拍は加速し、焦りが募る。
振り返ると、翔太は彼女を追ってきていた。
美咲は叫びながら、懸命に逃げる。
しかし、彼女の足元から不思議な力に引き寄せられるような感覚がした。
「なぜ、私を引き戻そうとするの?」彼女は心の中で叫ぶ。
逃げる先に待っているのは、何か忌まわしい真実があるのではないかと感じた。
夜の闇はさらに深まり、周囲はどこまでも続くように思えた。
美咲は人の姿を探したが、誰もいなかった。
全てが彼女を孤独にし、恐怖心が増していく。
街灯が完全に消えると、真っ暗な闇に包まれた。
すすり泣く声や、彼女の名前を呼ぶような囁きが、耳の中で響き渡る。
「美咲、助けてあげる」と翔太が背後から叫ぶ。
彼女は続けて走るが、足元がふらつき、もう限界だった。
振り向くと、翔太が暗闇に立っていたが、彼のまわりには黒い影がごそごそと動いていた。
「逃げられないよ。ここから出るには、何かを捧げなければならない。」
彼女の心は絶望に包まれた。
目の前に心の闇が迫り、翔太の顔が徐々にぼやけていく。
その時、美咲は思い出した。
数年前、この公園で行方不明になった子供たちの噂。
彼らの霊が彷徨っていることを知らなかった。
「どうして、私なの?」彼女は叫んだ。
「君が私に気づいたからだ」と翔太は吐き捨てた。
「実は、私はその一人なんだ。彼らの中の一人として生き続けている。君もここに残るための儀式を手伝ってほしい。」
美咲はその言葉の意味を理解し、恐怖が彼女を支配した。
逃げようとするが身体が言うことを聞かない。
彼女は翔太の本当の姿を目の当たりにし、ただ一つの真実に辿り着いた。
この公園は、人を引き留めるための罠であり、彼女が逃れば逃るほど、深い闇に囚われていく運命だった。
翔太は美咲に近づくと、彼女の心に響くように言った。
「運命を共有すれば、私たちは解放されることができるのさ。」その言葉が彼女の心を突き刺し、絶望の淵へと引き込まれていく。
不安でいっぱいになりながらも、彼女は更なる抵抗の力を失い、ただ闇に沈んでいくのだった。