「消えた明かりの道」

ラは、静まり返った夜の道を一人で歩いていた。
彼女は友人との会合から帰る途中だったが、思いのほか時間がかかっていた。
彼女の心のどこかに、落ち着かない気配を感じていた。
その夜は、薄暗い雲が空を覆い、不気味な静けさが地面を包み込んでいた。

周囲の明かりは疎らで、道の両側には古びた木が闇に溶け込んでいる。
ラは足音を響かせながら、少しずつ歩を進めた。
その時、何かが彼女の後ろからついてくる気配を感じた。
振り返っても誰も見えない。
気のせいかと自分を納得させようとするが、背筋に寒気が走る。
その瞬間、無数の木々が風もなく揺れたかと思うと、再び静寂が戻った。

「おかしいな」と彼女は思った。
すると、先に進む道の端に小さな明かりが点滅しているのが見えた。
好奇心が彼女を突き動かした。
もしかしたら、誰かがいるのかもしれない。
ラはその明かりに向かって歩みを進めることにした。
少し先には、朽ち果てた木製の小屋が見えていた。

近づいてみると、無造作に開かれた扉からほのかな光が漏れ出している。
心の中で緊張を感じながら、彼女はその扉を開けてみた。
中は薄暗く、埃をかぶった家具や道具が並んでいる。
明かりがついているのは、一つの古びたロウソクだけだった。
そのロウソクの周りには、何か不気味な道具が点在している。
そして、その中に一つの小箱を見つけた。

箱の上には、奇妙な印が刻まれていた。
ラはその箱をそっと開けてみる。
中には、一枚の古い紙と、何かの鍵が入っていた。
紙には「冒険は真実を明らかにする」とだけ書かれていた。
彼女はその言葉に不安を覚えたが、同時に好奇心も駆り立てられた。
鍵は何に使うのだろうか?

当たり前に存在する日常が、突然目の前の現実から色彩を失っていくように感じた。
ラはこの小屋を出る決意をするが、後ろで再び風が吹き抜け、いきなり扉が閉まった。
驚いたラはなかなか扉を開けられない。
彼女はその瞬間、自分が何かに取り込まれそうな感覚を覚えた。

その時、彼女の耳元で「冒険に出ろ」と囁くかのような声がした。
恐れを感じたが、反抗するようにラは自分の中の勇気を振り絞り、扉を力強く押し開けた。
外の闇に身を投じると、薄気味悪い静けさが再び彼女を包み込む。

迷うことなく、彼女は明かりに向かって進むことに決めた。
しかし、その道の先には、木々が無造作に立ち並び、視界を遮っている。
地面には大きな影が落ちており、背中がゾクゾクしてくる。
ラは自分が迷子になっていることに気づき、心臓が高鳴っていく。

「逃げなきゃ」と自分自身に言い聞かせる。
しかし、足は動かない。
まるで何かが彼女を引き留めているようだった。
思わず振り返ると、いつの間にかロウソクの光が消えてしまっている。
周囲の暗闇に包まれ、不安がさらに募る。
「ここは一体…?」

その時、冷たい風が吹き、彼女の耳元で再び「真実を知る時が来た」とささやく声がした。
ラは流されるように立ち尽くしてしまう。
まるで、その声に導かれるように、道の行き先が示されているかのようだ。

その直後、彼女の目の前に現れたのは、影の中に浮かぶような少女だった。
少女は奇妙な微笑みを浮かべ、手を差し伸べている。
「一緒に来て、冒険をしよう」と囁く声が、再び耳に響く。
ラは混乱しながらも、その少女に導かれるまま歩き始めた…。

最後の景色が消え去る中、彼女は一体何が待ち受けているのかを理解することはできなかった。

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