「消えた少女と人形の呪い」

ある寒い冬の夜、少見 彩(しょうみ あや)は、地元の友人たちとともに古びた神社を訪れた。
神社は、「れ」と名付けられた場所で、数十年前に忽然と姿を消した少女の話が語り継がれていた。
その少女は、神社の近くの森で遊んでいた時、何かに呼ばれたように山の奥へと迷い込み、以来行方不明となっているという。
地元の人々は、この場所に踏み入ることを避け、特に夜の神社には近づかないよう警告していた。

彩は恐怖を感じつつも、心の奥ではこの神秘的な場所に引き寄せられていた。
彼女は友人の健一(けんいち)や乃美(のみ)たちと一緒に、神社の境内へ足を踏み入れた。
周りは暗く、月光が薄暗い森の間からこぼれ落ちている。
彼女の仲間は楽しそうに笑っていたが、彩は何故か不安を抱えていた。

神社の中心には、古いお社があり、その前に立つと、どこか異様な雰囲気を感じた。
彩は、お社の中に何かが放たれているのを感じた。
みんなで周囲を探索し、社の奥にある小道を見つけた。
好奇心に駆られ、彩はその小道を進んでいく。
友人たちも彼女の後を追った。

小道は次第に暗く、静けさが訪れた。
頻繁に感じる目の前の視線に、彩はぞっとした。
友人たちも急に口数が減り、緊張が高まる。
そんな中、ふと健一が何かを見つけた。
「あれ、何だろう?」と、指差した先には小さいが古びた木箱があった。

彩は木箱を手に取ると、その瞬間、冷たい風が吹き抜けた。
健一がその木箱を開けると、中には小さな人形が入っていた。
人形の目はどこか生きているように見え、微笑んでいた。
乃美が「こんなもの、捨てようよ」と言いながらも、興味深そうにその人形を眺めている。
彩の心の中には不安が広がっていく。

「どうする?ここに置いておくべきかな?」と健一が言ったが、彩は「持って帰っちゃダメだよ。何か良くないことが起こりそう」と止めた。
しかし、乃美は「だって面白いじゃん!ねえ、放っておくの?」と笑った。
その言葉に、彼女は無意識に頷いてしまう。

神社を後にした後、彩は一晩中、その人形が頭から離れなかった。
友人たちは大騒ぎしていたが、彼女の心の中にはどこか重い感じが残っていた。
夜が深まると、眠れないまま悶々と過ごしていると、突然、部屋が暗くなった。
彼女の視界の隅に影がチラついている。

「やだ、消えて…!」と叫んだ瞬間、彼女は自分の目の前に人形が現れ、じっと見つめられているのに驚いた。
心臓がバクバクと鳴り響く。
急いで布団をかぶり、朝が来るのを待った。

翌朝、友人たちと待ち合わせたが、乃美が姿を見せない。
連絡を取っても応答はない。
心配になり、彩は健一と一緒に乃美の家に向かう。
ドアを開けると、部屋には何も異常がないように見えたが、衣服が散らかり、乃美の姿は見当たらなかった。

「どうなっているの?」と心配する彩。
健一は無言で、彼女の隣に立ち尽くしていた。
その時、彩の視界の隅に人形が見えた。
彼女は恐ろしさに背筋が凍りついた。
人形はまるで彼女を呼び寄せるようにして、危険な雰囲気を漂わせていた。

その後、仲間や家族が乃美を探し続けたが、彼女は二度と戻らなかった。
彩と健一は、神社で起きたことを誰に話すこともできず、重い心を抱えたまま過ごすことになった。

彼らは決して神社に戻ることはなく、あの人形の存在を忘れようとした。
しかし、妖しい影が今も彼女たちの周りに漂っていることを、深い闇の中で感じていた。

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