「永遠の友達」

深い森に囲まれた古びた屋。
しかし、そこには一つの異なる噂が立っていた。
人々はその屋で何か不気味な現象が起こると耳にしており、近づくことすら避けるようになっていた。
特に中村という名の男が訪れると、何か恐ろしいことが起きるという噂が広まっていた。

中村は一人暮らしをしているが、最近自らに近づく奇妙な出来事に悩まされていた。
それは、夜中に聞こえるかすかな声や、窓を叩く風の音だった。
数週間後、彼は周りの噂を耳にし、この屋を訪れてみようと決意したのだ。
何が真実かを自分の目で確かめたかった。

小さな扉を押し開けると、屋の中は薄暗く冷たい空気が漂っていた。
埃にまみれた床と色褪せた壁は、まるで何十年も放置されているかのよう。
一歩踏み出すたびに、彼の心臓が高鳴った。
中村は、何かが彼を待ち受けている感覚を覚えていた。
しかし、それでも彼は奥へと進んでいく。
部屋の隅には、古い木製のテーブルがあり、その上には何冊もの本が山積みになっていた。

その本の一つを手に取ると、ページが黄ばんでおり、呼びかけるような文字が何かしらのメッセージを伝えているようだった。
しかし、その内容は意味不明であり、どこか異様な雰囲気を漂わせていた。
彼は本を元に戻そうとしたが、何かに引き寄せられるように気がつけば、すでに多くのページをめくっていた。

突然、背後から重い空気を感じた。
振り返ると、薄暗い部屋の隅から一人の少女が立っていた。
彼女の顔は青白く、不気味な笑みを浮かべている。
「これを見つけたのね」と声をかけられ、中村は心臓が止まるかと思った。
「どうしてここにいるのかしら?」少女は中村の存在に興味を持ったようだった。

「私は、あなたを待っていたの」と彼女は続けた。
「この屋には、かつて私が住んでいたの。あなたが私を見つけてくれたのだから、一緒に遊びましょう。」少女の目は冷たく、彼はたじろいだ。
目を逸らそうとしてもその視線を感じ、背筋が寒くなった。

彼女は徐々に近づいてきて、彼の耳元で囁いた。
「私たちの遊びは、楽しいけれど…でも、出られなくなってしまうわ。」その言葉を聞いた瞬間、中村は恐怖に駆られ、屋から逃げ出そうとした。
しかし、扉は閉まったままで、全く動かなかった。

彼は窓に向かって走り、外へと助けを求めようとした。
だが、そこには何も見えなかった。
ただ、彼の後ろには少女の影が、じっと彼を見つめているだけだった。
彼女は再び笑い声を上げ、「どうしてそんなに怯えるの?私たちは友達になれるのよ」と告げた。

中村は恐怖に満ちた心を抱えて、絶望感に苛まれた。
彼はこの屋に訪れた理由が、次第に彼自身を捕えようとしていると感じた。
その本が彼を引き寄せ、少女と一体化させようとしているのではないか。
逃げたくても逃げられない、まさにその瞬間が恐怖だった。

「これからも遊びましょう。私たち、永遠の友達になれるから」と少女は言い残し、彼の視界が白くなった。

気がつくと、彼は屋の中で一枚のポートレートになり、子供たちが遊ぶその風景の中に溶け込んでいることを悟った。
彼はもう、出ることはできないのだ。
時は静かに流れ、異様な屋は今度は別の者を待ち受けることになった。
中村の名前は、その本の一節として永遠に刻まれるのだった。

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