ある静かな町に、古びた時計屋があった。
その名は「時の家」。
店主の隆一は、幼い頃から時計を修理する技術を持ち、町の人々に愛されていた。
しかし、この店にはひとつ恐ろしい秘密が隠されていた。
店の奥には、終わることのない時を刻む「永遠の時計」と呼ばれる大きな時計があった。
この時計は故障しており、動くことはなかったが、黙ってその枯れた針を眺めていると、徐々に気分がすぐれなくなった。
町の人々はその時計の存在を知っていたが、あまり近づこうとはしなかった。
ある晩、町の若者である健太が友人たちと一緒に時計屋の話をしていた。
「お前、あの時計を見に行こうよ!」友人の一人が提案した。
恐れを知らない彼らは好奇心から永遠の時計を見に行くことにした。
深い夜に「時の家」に到着すると、静けさが周囲を包んでいた。
健太たちは中に入り、薄暗い店内を探った。
時計たちが時を刻む音もなく、まるで時間が止まっているかのようだった。
「これが永遠の時計か…」健太は青白い月明かりに照らされたその時計を見つめた。
周囲の友人たちも興味津々だったが、誰も近づこうとはしなかった。
気がつけば、いつの間にか、彼らの間には不安が漂っていた。
しかし、好奇心が勝ったのか、健太が勇気を出してその時計に近づいた。
「何が怖いって、ただの時計だろ?」彼はその針を触ろうとした瞬間、背筋に冷たいものが走った。
触れてはいけないと本能が警告しているようだった。
その時、彼の手が針に触れた瞬間、鐘の音が響きわたった。
店内が揺れ、突然、時計の針が動き始めた。
健太は驚き、周りの友人たちも恐れに顔を蒼白にしていた。
いや、針は動いているのに、その音はまるで過去の記憶を呼び起こすかのような響きだった。
その瞬間、「し…」という囁きが空気を震わせるように響いた。
まるで時間を操作されているかのように、彼らの周りの光景が歪み、過去の町の風景が浮かび上がった。
人々の姿、日常の風景、彼らの知らない昔の町の様子が見えた。
「ここは…?」健太は目を細め、動揺した。
友人たちも恐怖を感じ始め、彼は思わず後退った。
しかし、鐘が鳴るたびにいつの間にか時代が変わっていた。
友人の一人、直樹が突然叫んだ。
「戻れない!戻れないぞ!」周りはどんどん混沌とし、彼らはこの「時の家」に閉じ込められたように感じた。
次第に現実の姿は消え、もはや家の中はものであふれかえっていった。
「時間が止められてしまったんだ!」隆一の声が響いた。
彼はその場で叫んだ。
「おまえたちの好奇心が、この時計を動かしてしまった。これを動かすと、時が戻り、他の者が生きる時間を奪ってしまう!」
健太たちは恐怖に駆られ、混乱していた。
彼らはどうにか永遠の時計を止める方法を見つけようとした。
しかし、その時、町の過去は彼らを圧倒し、数えきれない危険な影が彼らに迫っていた。
果たして、健太たちはその時計の呪縛から解放されることができるのか。
彼らが過去から逃げ出し、未来に戻ることができるのか、時間は無情に進んでいく。
そして、ついに、隆一の助けを借りて針を元に戻さなければならない決断をすることになった。
しかし、その瞬間、健太は彼を引き留めた。
「私たちの時間が奪われるのか?それだけは嫌だ!」
果たして、彼らは無事に帰れるのか…。
時計屋の中で悪夢は続いていた。
彼らの運命を握るのは、この「永遠の時計」だった。