深い森の奥に、決して近づいてはいけないとされる「テ」と呼ばれる古びた場所があった。
かつては人々が集い、賑わった祭りが開かれていたが、ある晩、不可解な事件が起きてからは、その場所は忌み嫌われ、忘れ去られてしまった。
その場所には「ン」という一人の女性が住んでいた。
彼女はその森に生まれ育ち、幼少期から不思議な力を持つことで知られていた。
しかし、その力が周囲の人々に恐れられ、次第に孤独な生活を余儀なくされていた。
「ン」は、そうした環境の中でも、森の声や精霊たちと会話することができる特別な存在だった。
ある日、研究のために訪れた大学生たちが、「テ」の存在を知り、興味本位で肝試しをすることにした。
彼らは、恐ろしい噂の真相を確かめるために、その森の奥深くまで足を進めた。
途中、彼らは「ン」と出会うことになる。
彼女は、彼らを見つめて無表情で立っていた。
長い黒髪が月明かりに照らされ、その姿はまるで時代を超えた化身のようだった。
大学生たちは、彼女が持つ不思議な力を好奇の眼差しで見守る一方、彼女は懐かしい、しかし心に深い影を持っているかのように見えた。
「何しに来たの?」彼女の声は、どこか冷たく響いた。
研究者たちはその問いに戸惑った。
彼らは「テ」の伝説や「ン」の存在を半ば冗談にしていたが、この瞬間、彼らは本物の恐怖を感じていた。
自分たちの軽率な行動が何を引き起こすか、彼女の目を見て想像を超えた恐ろしさに直面していた。
「この場所には、承の精霊が宿っている。あの者は、私たちが気づかないうちに部を重ねてきた。」彼女は森の奥を指差した。
彼女の声は低く、発音の一つひとつが重く耳に響いた。
大学生たちは、かつての祭りの盛況と、今の静けさの間に横たわる暗い歴史を感じた。
急に、森の中から奇妙な音が響き渡った。
「な、め、な、め…」と耳の奥に残る音が、徐々に大きくなっていく。
大学生たちは恐怖に囚われ、足がすくむのを感じた。
彼らは、もはやこの場から逃げ出すべきだという思いに駆られたが、その瞬間、恐ろしい現象が彼らの目の前で起きた。
森の奥から不明な影が現れ、彼らを包み込んだ。
影は辺りを取り巻き、まるで彼らの心の奥底にある恐れや後悔をさらけ出してくるようだった。
彼らは、今までの行動を悔い、周囲の人々への思いを募らせた。
しかし、その影は一向に静まらず、彼らの心をざわつかせ続ける。
「もう遅い。あなたたちがこの場所に来た目的は、知っている。」そう言い終わると、「ン」の表情が変わった。
彼女は、自らの血を流すかのように床に手を置いた。
その途端、森の空気が一変し、風がざわめき始めた。
まるで、過去の祭りの炎が再び息を吹き返したかのように、周囲が一瞬にして賑やかな音に包まれた。
大学生たちは驚愕し、恐怖に飛び上がった。
「逃げろ!」誰かが絶叫したが、彼らの身体は動かなかった。
どこからともなく現れた光が彼らを包み込み、その瞬間、音は急に静止した。
気がつけば、彼らは森の外に立っていた。
心臓が高鳴り、手足が震えた。
森の中での出来事は、夢のような幻影だったのか、それとも現実だったのか、自分たちには判断できなかった。
しかし「ン」の言葉と、森の冷たい風が心の奥底に残り、決して忘れることのできない記憶として永遠に刻まれることになった。
以後、彼らは「テ」という場所を二度と訪れることはなかった。
心のどこかに深く埋まった影は、彼らを今も苦しめているかもしれない。
「ン」の微笑みとともに、彼女が守っていた秘密は、決して明らかになることはなかった。