学の奥深くにひっそりと佇む、ある古い校舎。
そこには、過去の生徒たちが語り継いできた恐ろしい噂があった。
特に「突」という言葉が耳に残る。
これは、かつてこの校舎で起こった怪奇現象に由来するもので、ある生徒が突然姿を消し、その行方が不明となったことから生まれたものだった。
新学期が始まり、多くの新入生がこの校舎に足を踏み入れた。
彼らは興味本位でその噂を耳にしても、まさか自分たちに何か起こるとは思わなかった。
しかし、学び舎には何か不気味な印が隠されているのではないかと思わせる雰囲気が漂っていた。
ある日の放課後、主人公の翔は友人たちと共に古い図書室に足を運んだ。
そこは長年使われていない、静けさが漂う場所だった。
彼らは確かめたい好奇心に駆られて、どんどん奥に進んでいった。
古びた書棚の背後に、ふと目に留まった一冊の本があった。
表紙には、墨で描かれた奇妙な印が浮かんでいる。
翔たちはその本を手に取ると、驚くほどの古さに思わず目を見張った。
「これ、なんだろう？」と友人の美咲が顔をしかめて言った。
翔はその本を開き、中のページをめくった。
「ここには、『癒』の力を持つ者が語る、過去の秘密が綴られているらしい。学校にまつわる伝説や、不思議な現象が記されているみたいだ。」
その瞬間、一陣の冷気が図書室を包み込んだ。
翔たちは凍りついたように動けず、その場に立ち尽くした。
重苦しい空気の中、どこからともなく声が聞こえてきた。
「助けて……私を見つけて……」それは微かに震えるような声だった。
恐怖が募る中、突然、翔の目の前にさっきの本が弾けるように開いた。
そのページには、生徒たちが失踪する様子が詳しく描かれていた。
描かれているのは過去の生徒の姿だった。
その顔は、不安に満ちた狂ったような表情をしていた。
翔は後ずさりし、友人たちも恐れおののく。
「もう行こう、こんな場所にいても何も良いことはない！」翔が叫んだ。
友人たちも同意し、急いで図書室を出ることにした。
しかし、扉を開けようとする瞬間、翔の目の前が真っ暗になり、まるで誰かに引き寄せられているかのような感覚に襲われた。
気づくと、翔は一人でその図書室に取り残されていた。
恐怖に駆られた翔は、「美咲！他のみんなはどうした！」と叫んだが、誰も返事をしない。
無言のまま、校舎の廊下が続いている。
翔は必死で出口を探す。
外に出た瞬間、彼は目の前に現れた一人の女性と対峙した。
その彼女は、まるでこの校舎の過去の生徒のようだった。
「私を助けて、ここから出して……」その言葉が翔の耳に残る。
彼女の目は悲しみと孤独に満ちていた。
翔は心の奥で生まれた疑問を抱えたまま、彼女を助けたいと願ったが、どうしようもなかった。
その後、翔は校舎を逃げ出し、外の空気を吸った。
しかし、彼が振り返った瞬間、校舎の窓に映る映像が一瞬彼の心を掴んだ。
それは昔の姿をした生徒たちが集まっている光景であり、彼女もその中にいた。
この校舎は過去の記憶を癒そうとしていたのだろうか。
翔はもう一度振り返り、彼女の姿を探した。
しかし、その姿はすでにどこにも見当たらなかった。
彼の記憶の中では、彼女の悲しい笑顔だけが消え去らずに残っていた。
そして、翔はこの校舎が持つ傷の深さを理解するのだった。
過去の生徒たちが抱えていた想いが、今も彼らを待ち続けているのだと。
