ある日、高校生の佐藤健二は友達と一緒に文化祭の準備をしていた。
彼らは台の上に立てられた仮設のステージを組み立てている最中、何やら不思議なものに気づいた。
それは古びた、見慣れないお守りだった。
健二はそれを手に取り、「誰かの忘れ物かな?」と呟いた。
友達の中でリーダー格の山田は、「そんなの気にするなよ、さっさと作業を続けよう」と言い放った。
その言葉を聞いた健二は、お守りを袋にしまい、以後の作業に集中した。
文化祭が終わる頃、健二はそのお守りを自宅に持ち帰ってしまった。
夜、健二が自室で宿題をしていると、急に部屋の温度が下がり、背後に誰かがいるような気配を感じた。
振り返ると、誰もいない。
しかし、気のせいだと思い直し、また宿題に集中しようとした。
しかし、時計の針が深夜を過ぎる頃、その気配はますます強くなっていく。
明らかに、何かが迫っている。
健二は不安になり、お守りのことを思い出した。
翌日、学校に行くと、健二の元に同級生の鈴木が近づいてきた。
「あの時の台、ちょっと変だったよね。なんか、指先が冷たく感じたよ」と言う。
健二は彼の言葉を思い出し、何か不気味なことが起こっているのではないかと感じた。
さらに、健二はクラスメイトの竹内と話している時、竹内が「最近、身近にいる人との縁について考えることが多いんだ」と話すと、健二はその言葉に妙な引っかかりを覚えた。
次第に、台での仮設のステージやお守りと、彼らの言葉が重なり合っていくような感覚があった。
夜になるにつれ、健二は再びその気配を感じるようになった。
今度は鈴木もその気配を感じたらしく、二人は共に何が起こっているのか話し合った。
鈴木は言った。
「お守りが呼んでるんじゃないのか?縁がある人が何かを訴えてるとか…」
不安を抱えながら、健二はお守りをまじまじと見る。
その瞬間、彼はお守りが印象的なデザインであることに気づいた。
そこに刻まれていたのは、古い名前の列だった。
誰かの名前のように思えた。
「この名前は…知っているような、でも思い出せない…」
彼らは決心し、お守りに刻まれた名前を調べることにした。
ネットで検索した結果、その名前はかつてその地域で事故に遭った少女の物だと判明した。
彼女は高校生の時に友達と文化祭の準備をしている最中に、不運にも事故に巻き込まれたという。
その出来事が、健二たちの中に深い理由を感じさせた。
彼らは少女の縁を結ぶ役目を果たさなければならないことを理解した。
健二は今後、自分たちがその記憶を忘れず、彼女の無念を晴らすために行動することを決意した。
しかし、その夜再び悪夢を見た。
彼女の悲しい表情と、無念の思いが明確に伝わってきた。
彼女は、自らの運命に絶望していて、自らの縁を結ぶ者を待ちわびていたのだと感じた。
翌日、健二は友達と共に台の場所へ行くことを決めた。
彼らはお守りを返し、事故のことを思い出しながら、彼女の存在を語り合った。
無意識の中で、彼らは彼女に手を合わせ、最後の別れを伝えた。
その瞬間、気配は消え、温かい風が吹き抜けた。
健二は、彼女との縁をしっかりと結ぶことができたのだと感じた。
健二は今後、彼女を決して忘れず、彼女のことを後輩たちに語り継ぐことを心に誓った。
彼女の無念と共に生きることが、彼らの新しい使命となったのだった。