陽が沈み、薄明かりの下、かつて賑わっていた園が静寂に包まれた。
ここは、かつて子供たちの笑い声で溢れていた場所。
しかし今は、草が生い茂り、朽ちかけたブランコや遊具だけがその名残を示している。
この園には、長い間忘れ去られた「光の伝説」と呼ばれる話がある。
それは、夕暮れ時に再び姿を現すという霊的な存在についてのものであった。
ある日、悠太という若者が友人の美咲と共に、博物館の展示で見たこの伝説に興味を持ち、園を訪れることを決めた。
彼は好奇心に駆られ、都市伝説が本当に存在するのか確かめたかった。
美咲はその話を信じていなかったが、悠太の熱意に押されてついていくことにした。
日が沈みかけるころ、彼らは園にたどり着いた。
周囲の静けさとは裏腹に、心がざわつくのを感じた。
二人は手を取り合い、中央の広場へ進んだ。
草が生い茂る中で、幼い日を思い出すようにブランコへ近づく。
しかし、悠太の心には緊張感が漂っていた。
「この場所、何かがいる気がする。」悠太は呟いた。
美咲は少し笑った。
「そんなこと、あるわけないじゃない。怖がりすぎだよ。」
その瞬間、微かな光が二人の前に現れた。
小さな球体のように浮かぶその光は、まるで彼らを誘うように揺らめいている。
悠太は心臓が高鳴るのを感じた。
「見て!あの光…、本当に伝説が確かだ。」と彼は目を輝かせた。
光は彼らの周りを回り始め、ふと消えた。
すると、ブランコが音を立て始めた。
二人はその音に驚いて後ずさりした。
無風の中、誰かがブランコに乗っているかのように揺れていた。
悠太はその瞬間、彼がこの園で語られる惨劇の物語を思い出した。
数十年前、ここで一人の少女が事故に遭い、無くなったという。
そして彼女の魂は、いつしかこの園を守る存在となったという言い伝えがあった。
二人の心に恐怖が根を下ろす中、悠太は光とブランコの動きが引き寄せられる感覚を覚えた。
「私、もう帰る…」美咲が言いかけたその瞬間、光が再び耀き始めた。
そして、彼女の目の前に一人の少女の姿が現れた。
白いドレスを着たその少女は、微笑んでいるように見えるが、その目はどこか悲しげだった。
「遊んでいる時間は終わりじゃない?」少女の声が耳に響く。
美咲は恐怖のあまり固まってしまった。
悠太は、少女の中にかつての笑い声が聞こえるような気がした。
「あなたは、どうしてここにいるの?」と問いかけた。
「私はここにいる。もう一度遊びたいから。」少女は少しずつ近づき、光が彼女の体を包み込んだ。
恐怖で後退する美咲に対し、悠太は彼女に手を差し伸べた。
「この光、私たちを必要としている。再び遊びたいのなら…私たちが一緒に。」
少女の表情が少しずつ変わり、理解が深まった。
「あなたもここで遊んでくれる?」彼女の声音には、寂しさと期待が混ざっていた。
悠太は勇気を振り絞り、彼女の手を取った。
「もちろん。私たちと一緒にいて。」
次の瞬間、二人の目の前で光は一層強く輝き、まるで時空が歪むかのような感覚に襲われた。
そして、静寂が破られたその瞬間、悠太の耳に少女の笑い声が響き渡る。
二人は、彼女が遊びたかった世界に引き込まれていった。
その光は、悲しみを抱えた元気な少女の存在を再び呼び起こし、園を守るために彼らをここで遊ばせるのだと、悠太は悟った。
その夜、園には子供たちの楽しそうな声が響き渡り、友人たちが一緒に遊ぶ姿が見られた。
しかし、朝が来ると、そこには静寂が戻り、光も足跡も消えていた。
ただ二人の記憶の中には、別の世界での夢のような出来事が確かにあったのだ。