深夜、町外れの廃墟と化した学校の中に、一人の少女がいた。
彼女の名前は美咲。
周囲は真っ暗で、ただ不気味な静寂だけが漂っていた。
美咲は、その学校の噂を聞きつけて、好奇心から一人で訪れることにしたのだ。
学校には、かつての生徒たちの怨念が漂っていると言われ、夜になると不気味な現象が頻発すると話されていた。
廊下を歩く美咲の心臓は、恐怖と興奮で高鳴っていた。
手にした懐中電灯が照らす先には、荒れ果てた教室や、落ちた天井の破片、そして埃まみれの机が並んでいた。
彼女は今、何かに引き寄せられるかのように、次第に心が不安定になっていくのを感じた。
次第に、どこからともなく耳鳴りが襲いかかり、彼女の思考を遮る。
まるで何かが、彼女に語りかけているかのようだった。
その時、美咲はふと、机の上に置かれた古い日記を目にする。
開いてみると、そこには恨みや悲しみが詰まった生徒の日記が綴られていた。
かつての教室で過ごした日々や、いじめられた出来事、そして最後には「もう、終わりにしてほしい」という絶望の言葉が書かれていた。
美咲はその日記を持って、廊下の奥へ進むことに決めた。
冷たい風が吹き抜け、彼女の足元に小さな影がちらりと通り過ぎた。
彼女は振り返ったが、誰もいなかった。
その影はまるで、過去の生徒たちの無念を表すかのように、彼女の心を揺さぶった。
更に進むと、ふと何かが彼女の手を掴んだ。
驚いて振り返ると、そこには憔悴しきった少女の姿があった。
彼女は、悲しそうな目で美咲を見つめ、「助けて…」と呟いた。
美咲は声を失い、ただその場に立ち尽くす。
「なんなの…？あなたは誰？」美咲は恐怖を感じながら問いかけた。
すると少女の口から返ってきたのは、「私は、ここで苦しんでいるの。助けてって言ってるのに、誰も気づいてくれない…」という言葉だった。
美咲は彼女に何が起こったのかを聞こうとしたが、少女の姿は煙のように薄れていき、次第に彼女の目の前から消えていった。
動揺する美咲だったが、どこか冷静さを保とうとした。
しかし、何かが彼女の意識の中に入り込んできた。
彼女はその影響を感じ、迷う気持ちと共に、ふと声が聞こえた。
「彼女を助けて。そうすれば、私たちも安らぎを見つけられる…」
美咲は再び、日記を見つめた。
「いじめの対する証拠を残さなきゃ…」彼女の心の中に、そんな思いが芽生え始める。
彼女は教室の窓を開け、深呼吸した。
「私は、あの子を助ける！」彼女の強い決意が、廃墟の静寂を破る。
美咲は急いで学校を出て、街へ向かった。
彼女は、学校での出来事を伝えるために、記者と接触することにした。
美咲はその生徒たちの苦しみを広めることを決意し、自分の心の中に芽生えた連帯感を大切にした。
だが、彼女がその決意を固めるほどに、廃墟の学校はますます不気味さを増す。
夜が更けるにつれ、無数の影が彼女を取り囲むように迫ってきた。
美咲は、自分の選択が招いた結果に直面することとなった。
廃墟が圧倒的な存在感を持つことに気づいた彼女は、ただ恐怖を感じている自分がいる。
彼女の決意は果たして届くだろうか。
しかし、心の中には「助けて」という声が響き続けていた。
美咲は、その夜のことが、決して忘れられない因果の結果になり得ることを感じながら、再び学校へ戻る決意を固めたのだった。
彼女が求めたのは、ただ一つの安らぎであり、自己の力で解決すること。
果たして、彼女はその影から解放されるのだろうか。
夜の闇の中で、その運命が静かに動き出す。
