「影の伝説:閉ざされた部室の思い」

静まり返った園の片隅には、古びた部室がひっそりと佇んでいた。
その場所はかつて、仲間たちが集まり、さまざまな活動や思い出を紡いできた思い出深い場所だった。
しかし、年が経つにつれ、そこにあった陽の光は次第に消え、いつしか「伝説」として語り継がれる存在に変わっていった。

ある日の午後、新しい生徒たちがその園に入学し、向かいのクラスメイトの間で、「部室にまつわる不気味な噂がある」と話題になった。
一人の男子生徒が言った。
「昔、ここで活動していた部員たちが、一人また一人と姿を消してしまったらしい。そのまま、部室に居続けた影だけが残っているって…」

その言葉に興味を持った女子生徒、里美は、友人たちを誘って部室を探検することに決めた。
「どうせただの噂でしょ。面白そうだから、行ってみようよ」と言う彼女の言葉に、友人たちは不安がる様子だったが、好奇心に勝てなかった。

夕暮れ時、彼女たちは園の奥にあるその部室に辿り着いた。
扉はわずかに開いており、薄暗い室内からはかつての賑わいがまるで消えてしまったかのように感じられた。
「ここだよ、みんな」と里美が言うと、皆は緊張しながらその門をくぐった。

中は静寂に包まれ、埃が漂い、壁に掲げられた活動の記録や、笑顔の写真が古びた形で残っていた。
しかし、部室の奥にある円形のテーブルには、どこか歪んだ影が浮かび上がって見えた。
「あれ、なんだろう?」一人の友人が怯えながら言うと、里美は思わず進み寄った。

その瞬間、スッと影が動いたように見えた。
恐ろしい変化に、彼女たちは一斉に後ずさりした。
影は部室の片隅で舞っているように見え、「戻れ、戻れ…」という声が耳を劈いた。
恐怖に駆られた里美は、「ちょっと待って、もう一度見ようよ」と言ったが、友人たちは彼女を引き留めようとする。

恐れを振り払うため、里美は一人、奥の影に目を凝らした。
「何か、伝えたいことがあるのかな?」と彼女の疑問が浮かび、自身の呼吸が音を立てる中、影に向かって問いかけた。
「何があったの?」

その瞬間、影が顕現し、かつての部員たちの姿が映し出された。
彼らの表情は崩れ、無気力で、まるでその場に囚われたかのようだった。
彼らが消える前に、思い出が口を開く。
「この部室を守り続けるため、私たちは戻れない…」

その話を聞いた里美は、恐怖に包まれながらも、心の中に切なさを抱えた。
「あなたたちを助けたい」と思った瞬間、彼女は何かに導かれるように、部室の隅にある本を手に取った。
それは、かつてその部が追求していた「伝説の物語」が記されたもので、そこに描かれていたのは、彼らが心を込めて作り上げた未来への願いだった。

里美はそれを読み進める中で、部員たちの真意に気づいた。
「伝えられなかった思い、ここで生き続けるその意志を、私がつないでいく」と決意した。
動揺する友人たちを横目に、彼女は影へと向き直り、力強く告げた。
「あなたたちの思いを受け継ぎます!二度と誰も消えないように、私が守るから!」その言葉は、部室に響き渡り、影たちが目を細めて微笑んだ。

日が落ち、夜が訪れると、園の空気はひんやりとしていたが、部室からは暖かさが漏れ出しているような気配を感じた。
後日、彼女たちは不思議なことに、部室の影は静かに過ぎ去り、部の活動は新たな形で続いていくこととなった。
伝説が共鳴し、再びこの場所は、思い出をつなぐ温かな場となったのだった。

タイトルとURLをコピーしました