集落の外れに、ひっそりと佇む廃屋があった。
その屋敷は、かつて友人たちが集まる場所だったが、今では誰も近づかない忌まわしい場所とされていた。
何か悪いことが起こったのか、集まったはずの友達が一人、また一人と姿を消していった。
人々はその理由を恐れ、集落の若者たちは母親によってあまり近寄らないように言い聞かせられた。
ある晩、仲の良い三人組、時、望、動は、集落の噂を聞きつけて廃屋に足を運ぶことにした。
彼らはこの屋敷にまつわる恐ろしい話を興味本位で探ることにしたのだ。
「ただの噂さ、入ってみようぜ」と、時が言った。
友の中で最も勇気のある彼がリーダーとなり、他の二人は素直に従った。
廃屋の扉は古く、ぎしりと音を立てて開いた。
中は薄暗く、長い間放置されていたため、埃が舞い上がり、空気は湿った匂いを含んでいた。
彼らは恐れながらも、一歩ずつ奥へと進んでいった。
そこにはかつての面影が残され、友たちが笑っていた思い出が感じられる場所だったが、静寂がその場を包み込んでいた。
「誰もいないじゃん、ただの空き家だよ」と動が言うと、望は窓の外を指さした。
「外の景色が、なんだか歪んで見える」そこには、霧が立ち込めており、彼らが来た道さえ何か異様に感じられた。
その瞬間、彼らの耳に「戻れ、戻れ…」という耳障りな声が響いた。
友達の声とは明らかに違っていて、何か無気味なものを感じた。
時は心臓が高鳴っていくのを感じた。
「この声、聞こえた?」彼は他の二人に問いかけるが、望は震えながら「分からない、でも怖い…」と口にした。
どうしてもこの声の正体を確かめたくなった時は、「もう少し奥に行こう」と提案した。
動と望は渋りながらも、それに従った。
彼らが進むにつれ、声は徐々に大きくなってきた。
さらに、目の前に現れたのは、集落に住んでいたはずの友人、悠の姿だった。
しかし、彼の目は虚ろで、笑顔とは程遠いものだった。
「お前たちも来たか…友のために、戻れ。」悠はゆっくりと、だが確実に彼らの方に近づいていく。
「俺たちはお前を助けに来た!」動が勇気を振り絞って叫ぶが、悠の表情は変わらない。
むしろ、背後から別の影が現れ、その影は友人たちの知っている顔だったが、彼らの表情はざわめく狂気に満ちていた。
望は耐えきれず、逃げ出そうとして足を踏み外した。
「戻れ、友よ…戻れ、戻れ」と、声は依然として鳴り響いていた。
しかしその声は、徐々に彼らの心に恐怖の種を植えつけ、動は急に力が抜けてその場に立ち尽くした。
全員が冷や汗をかき、動かなくなった瞬間、彼らの心の奥から苦しみが噴き出した。
時は叫び声を上げながら、一歩後退し、望と動を引き上げようとしたが、二人は急に意識が遠のいていくのを感じた。
「私たちは、ここで見つけなきゃいけない…私たちの友のために!」彼は叫び、目の前の影に立ち向かおうとした。
しかし、彼自身もその狂気に引き寄せられ、ただの影と化してしまった。
その後、集落では彼らの姿を見かけなくなった。
時々、夜の静寂の中で「戻れ…」という声が響き渡ることがあったが、その声は今や誰も聞くことがなかった。
無くなったはずの友は、今もその廃屋の中で、心の奥から復讐を願い続けることに。
廃屋は、今もなお、彼らを待ち続けているのだ。