ある夜、風の強いとある地方の小さな村で、検という名の若者がいた。
彼は村の神社の近くに住んでおり、毎晩のように神社の境内を訪れては、静かな時間を過ごすのが好きだった。
神社には、昔から語り継がれる神々が住んでいると言われており、その存在を肌で感じたいと思っていたのだ。
その夜、検はいつものように神社へと向かった。
月明かりが空を照らし、神社を包み込む薄暗い影が、彼に不安を抱かせる。
しかし、彼はその不安を胸に秘め、境内の中央にある大きな木の下に腰を下ろした。
風の音が耳に心地よく響く中、彼は深い呼吸をし、心を整えた。
だが、そんな静けさもつかの間、検の耳に不思議な声が聞こえてきた。
それは、若い女性の声だった。
「助けてください…」その声は、彼の心に直接響くかのように強く、何かを訴えかけていた。
驚いて辺りを見回したが、誰もいない。
検は恐る恐る声のした方へと足を進めることにした。
その声は、神社の奥の方から聞こえてくる。
彼は不安を感じながらも、その声に引き寄せられるように進んでいく。
神社の奥には、ひっそりとした小さな祠があった。
祠の前に立つと、再びその女性の声が聞こえた。
「私は、ここに縛られているの…」検は思わず声のする方を見た。
そこには、薄い白い着物を纏った女性が立っていた。
彼女の顔は柔らかい笑みを浮かべていたが、その目はどこか悲しみに満ちていた。
彼女は言った。
「私の名は元。ここに囚われているのは、私の義。私を解放してほしい…」検は戸惑った。
「どうして、そんなことになったのですか?」
元は静かに語り始めた。
彼女は昔、村の人々から裏切られ、無実の罪で命を奪われたの