「呪印の怨念」

ある寒い冬の夜、佐藤廉は友人たちとともに、古びた神社の裏にあると言われる「呪いの印」の話を聞いた。
その神社には、過去に悪事を働いた者に相応しい処罰が下されるという伝説があり、特にその裏手では奇妙な現象が起きると噂されていた。

廉たちは興味を引かれ、軽い気持ちで探検に向かうことにした。
神社に到着すると、薄暗い境内には雪が深く積もっており、どこか神秘的な雰囲気が漂っていた。
神社の裏手へ進むと、古びた木々がその枝を覆いかぶせるように生い茂っており、湿った空気が肌を刺した。
友人たちは興奮して騒いでいたが、廉は次第に不安を感じ始めた。

「大丈夫だって、何も起こらないよ」と、隣にいた高橋が言った。
しかし、廉は心の奥に不安の影が忍び寄るのを感じ、不気味な暗闇に足を踏み入れることに躊躇した。

すると、友人の一人が神社の裏手にある古い祠を見つけ、皆で近づくことになった。
祠の扉は固く閉ざされていたが、何かの拍子で少しだけ隙間が空いているのを見つけた。
好奇心に駆られた友人たちが、その扉を無理に開けようとする。

「やめておいたほうがいいって」と呟く廉を無視し、高橋が扉を押し開けると、中から異様な冷気が流れ出た。
中には薄暗い空間と、何かの足跡が刻まれた石の台座があった。
その周りには、細い線で描かれた印がいくつも刻まれており、廉はその異様さに言葉を失った。

そして、突然、台座が微かに光り出した。
廉は思わず後退り、恐怖に包まれた。
友人たちもその異変に気づき、ざわつきはじめた。
その瞬間、強風が吹き抜け、神社の木々が激しく揺れる。
空気が震え、何かが目覚めたように感じた。

「出てくるな!」と叫びながら廉は必死に友人たちを制止しようとした。
しかし、すでに転がり始めた事態は止まらず、祠の奥から不気味な影が這い出してきた。
それは、悪事を犯した者たちを捉え、怨念を抱えた怪物のようだった。

薄ら笑いを浮かべたその影は、廉たちの前に立ち、彼らの心の中に潜む罪を暴き立てようと目を光らせた。
突如として、彼らはそれぞれの過去を思い出し、自責の念に苦しむ。
「どうして俺たちはこんなことを…」と、友人たちは取り乱し、何度もその場から逃げ出そうとしたが、足が動かなかった。

その影は、次々と彼らに「印」を刻み込み、彼らを呪いのような状況に追い込む。
廉は必死に逃げようとするが、動けない体に呪いが束縛しており、思うように足を進められない。
心の中の恐怖と罪悪感が渦を巻き、絶望的な状況に陥った。

その時、廉は神社の裏手にある伝説を思い出した。
悪事を働いた者には、必ず何らかの罰が下されるというもの。
それは単なる噂ではなかった。
彼は思い切って叫んだ。
「ごめん!私たちは間違っていた!」その瞬間、影が一瞬、動きを止めた。

その後、冷気は徐々に収まり、影は形をなくして消え去った。
しかし、彼らの心には深い傷が残り、外に出たときには、もう二度とその神社には近づかないという誓いが固く結ばれた。
怨念に呪われ、逃げられない過去が彼らを追い続ける限り。
その呪いの印は、永遠に彼らの心に残り続けるのだった。

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