「呪われた人形の秘密」

都内の平凡な公立高校に通う佐藤耕平は、学業優秀で人望も厚い生徒だった。
しかし、彼の心には一つの秘密がある。
それは、彼が通う学校が抱える異常な現象についての知識だった。
数年前、この学校では不気味な噂が広まり、何人かの生徒が行方不明になっていた。
その理由は誰も知らず、学校全体が恐怖に包まれていた。

ある日、耕平は放課後に図書室で勉強をしていると、先生から不気味な話を聞かされることになった。
「最近、怪我をした生徒の話がよく聞かれるが、その理由は不明だ。誰も教えてくれないが、何かが学校の中で起きているのかもしれない」と言った。
その言葉が耳に残り、耕平は心の奥で恐怖を感じつつも、疑念が芽生え始めた。

ある晩、耕平は友達の田中と一緒に学校に残って、噂の真相を確かめようと決意した。
学校の廊下は静まり返り、照明がチラついていた。
2人は体育館の裏手にある古い倉庫に向かう途中、ふとした拍子に足元を見失い、耕平の手がかすかに何かに触れた。
「これ、なに?」耕平が手に取ったのは、古びた人形だった。
無表情の顔が生気を失い、何か不吉な印象を与えた。

倉庫の扉を開けると、そこには信じられない光景が広がっていた。
薄暗い中に並ぶ数体の人形たち。
いずれも古びていて、奇抜な服装をした子どもたちの姿をしていた。
耕平は背筋が凍る思いがした。
同時に、無意識のうちにその中から一体を選んで持ち帰ることにした。

学校の周囲では、次々と生徒が行方不明になっていた。
噂では、行方不明者は精霊の生贄として捧げられているという伝説がささやかれていた。
耕平はしばらくその人形を自室に飾っていたが、次第に悪寒が走るようになり、家で孤独を感じることが増えた。

ある晩、夢の中で変な声が聞こえた。
「私を返して。私の場所に戻して…」 耕平は目を覚ましたが、何も考えることができなかった。
恐怖に怯えながらも、気づけば実際に学校へ向かっていた。
彼は人形を持ったまま、倉庫に戻る道を急いでいて、その途中で田中と再会した。

田中もまた、同じように感じていた。
彼は「耕平、その人形、倉庫の子供たちの一部なんだ。彼らを捨てたら、ほんとうに彼らが復讐に来る」と言った。
耕平はその言葉を聞いて、冷や汗が流れた。
彼はどうにか人形を元に戻すことを決意し、倉庫に向かうことにした。

倉庫に着くと、二人は人形を元の場所に戻し、謝罪の言葉を口にした。
しかし、その時、何かが背後で動く音がした。
耕平と田中が振り向くと、そこには倉庫の影から何かが這い出てきた。
それは人形たちが生きているように見え、笑い声をあげながら近づいてきた。

耕平は驚き、全力で走り出したが、自らの影が現実ではないかのようにゆっくり迫ってきた。
田中も必死に追いかけたが、二人は次第に教室へ伸びる道を失い、廊下の流れに迷い込んでしまった。

終わりの見えない恐怖に駆られた耕平は、「もう、助けて!」と叫んだ。
その瞬間、辺りの静寂が崩れ、授業中だった教室の扉が開かれ、教師たちが駆け寄ってきた。
しかし、耕平の目に映るのは、彼らの顔ではなかった。
彼の指の先には、ただ黒い影が広がっているだけだった。

次の日、学校では佐藤耕平と田中の姿が見当たらなかった。
彼らの名前は消え、ただ「人形」の噂が残っていた。
行方不明の生徒は、再び物語の一部として学校の中に残されることになった。

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