「写真に映った宮の秘密」

作という名の青年は、友人たちとドライブを楽しんでいた。
長い連休が始まり、仲間たちとの楽しい時間を過ごすため、彼らは人気のない山道を選んだ。
車内は明るい音楽と彼らの笑い声で満たされ、初めはすべてが順調に進んでいるように思えた。

しかし、彼らがある地点を通り過ぎた瞬間、車内の雰囲気は一変した。
急に空気が重くなり、静まり返った。
外の風景もどこか異様に感じられた。
作は不安を覚えたが、友人たちは気づいていないようだった。
彼はそのまま運転を続けた。

不意に、友人の一人が後部座席から現れた古びたカメラを手に取った。
「これ、前の持ち主が置いていったんじゃないか?」と笑いながら言う。
しかし、作はそのカメラに妙な気配を感じた。
彼はそのまま無視することにしたが、気になって仕方がなかった。

数分後、仲間たちは気分転換にカメラのセッティングを始めた。
「写真を撮ろう!」と友人が言い出し、彼らは次々としゃがみこみ、カメラのレンズを向けた。
作も参加し、みんなでポーズを決めた。
シャッターが切られると同時に、外の景色がまるで写し出されるかのように変わり始めた。

瞬間、視界が白くぼやけ、作はその場から引き離されたかのような感覚を覚えた。
彼の目の前には、神社のような奇妙な宮が現れた。
それは、古びた木々に囲まれ、神社の鳥居が霞むように立っていた。
何か惹かれるような感覚の中、彼はその写真に現れた場所へ引き寄せられていった。

友人たちの姿は消え、作は一人、静かな境内に立っていた。
彼は心の中で怯えを感じながらも、自らの足を進めた。
周囲には不気味な静けさが漂い、肌に寒さが伝わってきた。
作は自身が何をしているか理解できず、ただその場に佇むことしかできなかった。

ふと、彼の目の前に一人の女性が現れた。
彼女は白い着物を身にまとい、神秘的な雰囲気を漂わせていた。
その瞬間、作の心臓が激しく鼓動を打った。
女性は無言で作を指差し、彼の心の奥にある思いに触れてくるかのようだった。

作はその女性に驚き、何か知りたい衝動が湧き上がった。
「ここは…どこなんだ?何が起きているの?」彼は声を上げた。
しかし、女性は微笑みながら姿を消してしまった。
彼はますます混乱し、周囲に目を凝らした。

その時、再びあのカメラを見つけた。
作はそれを手に取り、シャッターを押そうとした。
しかし、何度押しても、映し出されるのはその女性の微笑みだけだった。
彼の頭の中で不安が広がる。
もしかしたら、このカメラは彼を過去の思い出の中に捉える効果があるのかもしれない。

作は急に、あの悪夢の始まりを思い出した。
友人たちの安全が心配で、何とか戻らなければならない。
彼は恐る恐るカメラを投げ捨て、再び同じ場所へ戻ることを試みた。

目の前がぼやけ、再び景色が変わると、作は運転していた車の運転席に戻っていた。
友人たちが驚いた顔で彼を見つめていた。
「お前、急にどうしたんだ?」と彼らは尋ねた。
作は無事に戻ったことに安堵し、状況を説明しようとした。
しかし、彼の声は震え、次の言葉が出てこなかった。

その後、彼らはその道を離れ、別の場所へ向かうことにした。
しかし、作の心にはあの神秘的な宮と女性の微笑が残っていた。
そして、心の奥深くに、彼女が何を伝えたかったのかという疑問が絡みついていくのだった。

それから数日後、作は友人たちに再度その道を通ることは絶対に避けようと決意したが、なぜか心の内に彼女の微笑みが燻っていた。
彼の人生は一見何事もないように見えても、その奥には不気味な影が忍び寄っていた。

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